ディファレンシャルGPS(DGPS)が平成31年3月1日をもって運用廃止
どうも。
久しぶりに船の無線屋っぽい記事を書いてみます。
海上保安庁が運用するDGPSが平成31年3月1日をもって運用廃止されます。
そもそもDGPSってなに?
DGPS(ディファレンシャルGPS)は、米国が運用するGPSの精度を上げる為の補正値を中波帯の電波を使って提供しています。
併せてGPS衛星の故障等、システムの運用状況等のインテグリティ情報も送信しています。
DGPS局は全国に27ヵ所あります。
詳しくはこちら
DGPSが運用廃止
ではなぜ、今回海上保安庁はDGPSの運用を廃止するのか。
その理由は以下の3点です。
GPSの精度が向上したから
米国が運用するGPSはDGPS運用開始した平成9年当時は約100mの測位誤差がありましたが、現在では約10mほどまで精度が上がっています。
また、GPS受信機自体の精度も上がってきました。
運輸多目的衛 星用衛星航法補強システム(MSAS)から補正情報を得られるから
DGPS以外にGPSの補正情報が得られるシステムとして、運輸多目的衛星用衛星航法補強システム(MSAS)が運用され、そこから補正情報が得られるようになった。
最近話題の「みちびき」や「ひまわり」がそれにあたります。
みちびきが使われるようになると誤差1mとかになるって言われてますよね。
平成31年4月にロールオーバーが発生し補正情報の信頼性を担保できないから
平成31年4月にロールオーバー( DGPS装置内の時刻管理が不能となる障害)が発生します。
そのため、それ以後の補正情報の信頼性を担保できない可能性があるのです。
まぁ2000年問題みたいなもんですね。
DGPS運用廃止で影響はあるのか?
おそらくまったくありません。
今まで通りGPSとして使えますし、ユーザー側で何か特別設定等を変更する必要もありません。
おそらくDGPSの電波が止まった瞬間に「DGPS測位エラー」が発生するだけで、それ以後はずっとDGPSは受信しないのでエラーも発生することはありません。
最後のお別れのエラーですね。
海外ではまだ運用されているDGPSがあるので、外航船は海外のDGPS局があるところではDGPSの補正情報をひきつづき使用できます。
おわりに
いつも身近にあって、なくてはならない縁の下の力持ちGPS。
これからも安定した運用がされることを切に願います。
おわり。